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ドロノキハムシの成虫と幼虫が入り乱れて葉を食い荒らしているヤナギ類の生えた斜面の下を歩いていて、ドロバチが来ているのに気付きました。明らかにドロノキハムシの幼虫を狩りに来ているようだったので、少し粘って狩りの様子を観察することにしました。
が、ハチはしょっちゅう飛んできますが、狩りの様子は一向に見ることができませんでした。結局、2時間近くかかって撮れたのはこれ1枚。甘くないですね。
獲物はドロノキハムシの幼虫に間違いないと思います。ハチはよく分かりません。
6月24日追記:覇蟆邇(はまに)人様からコメントを頂きました。このハチはオオハムシドロバチだそうです。詳細はコメントをご覧下さい。
2008年6月11日 (水) 膜翅目 | 固定リンク Tweet
ハンマー様。またまた、覇蟆邇(はまに)人です。度々済みません。 これは、すばらしい映像です! 狩られているハムシの幼虫の方は、仰る通り、ドロノキハムシで間違い無さそうです。 …で、ハチの方ですが、これは、恐らく、オオハムシドロバチ(Symmorphus captivus)だと思われます(ハンマー様の6月9日掲載分のハムシドロバチよりも、更に大きく、太い体つきをしていたでしょう?)。“日本のファーブル”こと岩田久二雄博士が、一般向けの著書(『自然観察者の手記』や『昆虫を見つめて五十年 (II) 』で、“Symmorphus captivus(=スミスハムシドロバチ)”としている種は、今日のハラナガハムシドロバチですので、お間違いの無いように…。オオハムシドロバチは、私も、前述の神戸森林植物園付属施設にて、1991〜1997年の間に、2回だけ出会ったことがありますが、兵庫県下のみならず、全国的に見ても、(エゾハムシドロバチ程ではないにしても)かなりの希少種ではないでしょうか? ましてや、既知の分布域や体サイズ、ファーブル昆虫記でもかなり詳しく取り上げられるヨーロッパ産の近縁種の情報等から推して、予想はついていたとは言え、実際の狩りの現場を押さえた獲物の記録というのは、日本国内では、ひょっとしたら“初記録”ではないかと思います。 それにしても、今年は、ちょっと変な年のような気がします。クヌギ・コナラ上のノミゾウムシ類の発生量が極めて少なかった一方で、市内のニュータウンの売れ残り造成地外縁のヤマナラシ(or ドロヤナギ?)蘖にでも、ドロノキハムシの発生が見られましたし…。
投稿: 覇蟆邇(はまに)人 | 2008年6月23日 (月) 08時18分
覇蟆邇(はまに)人様 ほめていただいてありがとうございます。 確かにこれは大きなドロバチでした。このハチも、あの屋根に営巣しているんでしょうか?あそこにはいろんな直径の筒がそろっているので、多様なハチがやってくるのだろうと思っています。 ところで、この写真の撮影場所はやはりあの公園内で、ドロバチに気付いたのは今年が初めてですが、ここ数年は毎年多数のドロノキハムシが発生しています。昨日(6/22)の時点でも、ドロバチが少し飛来していました。大小少なくとも2種が来ているように見えましたが、私の言うことなのであてにはなりません。 ハムシは成虫と若齢幼虫、それと卵塊は多数見られましたが、狩猟の対象になるような大きさの幼虫はまったく見られませんでした。全部狩られてしまったのかも知れません。しかし数週間後には手ごろな大きさに育っているのではないかと思います。それまでに狩猟のシーズンが終わってしますかも知れないのが残念です。 覇蟆邇(はまに)人様の目で見ればもっと興味深いことが見えるかもしれませんので、おおよその場所を書いておきます。気が向いたら覗いてみてください。ここは例の東屋から見て、池の対岸の道から1段上がったところにある細い道沿いです。さらに1段上にもいい場所があります。植物はこれがドロノキかどうか私にはよくわからないのですが、丈の低い若い株で、ドロノキハムシがたくさんついているのですぐにわかると思います。明日(6/24)、その場所のドロノキハムシをアップする予定です。
投稿: ハンマー | 2008年6月23日 (月) 23時50分
ハンマー様。 フィールドの情報、有難うございます。6月18日には、私も、夕方、帰り際に、例の公園の“茅葺き民家”の前のミニ畑法面に植栽されていたヤマナラシ幼木の再出芽の上に、偶然(幹に、体長12cm程もある、でも、平べったいカレハガの毛虫を見つけて、フラフラ近付いてみたら)、ドロノキハムシ成虫1匹と卵塊1つを見つけていたのですが、幼虫の発育した痕跡がほとんど無かったので、「どっから来たんかな〜?」と思っていたんです。横手の棚田(って言うか、今は、段々畑?)エリアの畦道の方は、見ていませんでした。 しかし、先週中は、結構な好天(しかも涼しめ)に恵まれていたにもかかわらず、世知辛い世の雑務(就職活動の一種)に追われて、結局、折角教えて頂いた現場にも、出向く事ができませんでした。確かに、ハチの方の活動期間が終わってしまっている恐れは大きいですね。オオハムシドロバチは、標高の高い地域(但馬地方等)では、7月中も、まだ活動しているようですが(昔、県の昆虫相調査のアルバイトで、雄バチ採集)、ここらではねぇ…。まあ、獲物のハムシ幼虫のコロニーが続いてくれていれば、ハラナガにしても、神戸の再度山でも、7月上旬まで営巣活動が見られた年もありましたから、諦めるのはまだ早いですけど。 あっ!その点からすると、ハンマー様の仰る『少なくとも大小2種のハムシドロバチの飛来…』というのは、大:オオハムシドロバチ,小:ハラナガ,かも知れませんね。ハラナガは、ルリハムシやヤナギルリハムシ,クルミハムシなど、ツンとくる臭気(クルミ以外は、新品のパソコンやオーディオ家電製品が熱を持った時のような匂い…と、私は感じるんですが、ファーブルは『ニトロベンジンの匂い』と表現しています)を放つ反転腺が発達したハムシの幼虫ばかりを好むので、ヤナギハムシやドロノキハムシなら、発生時期さえ合えば、十分対象内でしょう。ハムシドロバチに限った事ではありませんが、複数種の獲物を利用する狩バチが、小さな獲物まで利用しなければならない状況に陥った時、大型種の未成熟幼虫にまで無差別に手を出すよりも前に、小型種の成熟幼虫を利用する…という傾向はありますが(『採らずに暫く待てば大きくなるんだから…』なんてことを“見越した上で”…というのと“同じ結果をもたらす”メカニズムを持っている…ってことでしょう)、いよいよ適切な獲物が居ない…となると、未成熟幼虫まで狩るようになりますから、ハラナガも営巣末期で追い詰められての所行かも知れません。あそこのフィールド、ハンノキ類に居るのはハンノキハムシの幼虫ばっかりで、ルリハムシを(シーズン中でさえ)殆ど見掛けませんしねぇ…。
投稿: 覇蟆邇(はまに)人 | 2008年6月29日 (日) 23時44分
覇蟆邇(はまに)人様 一つ書き忘れていたことがありました。別の個体がオスと思われるやや小柄なハチにストーキングされてました。飛んでいる時はずっと後をついて飛び、メスがハムシ幼虫を探るために着陸するとすかさず交尾しようとしているように見えましたが、動きが速く、撮影はできませんでした。大小2種のドロバチについては、その時にはそう思ったのですが、まあ、話半分に聞いておいてください。 確かにあそこはハンノキハムシが多いですね。ハンノキにつくカメムシを観察していた時期があって、その時にもハンノキハムシの多さにはうんざりしました。
投稿: ハンマー | 2008年6月30日 (月) 22時40分
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コメント
ハンマー様。またまた、覇蟆邇(はまに)人です。度々済みません。
これは、すばらしい映像です!
狩られているハムシの幼虫の方は、仰る通り、ドロノキハムシで間違い無さそうです。
…で、ハチの方ですが、これは、恐らく、オオハムシドロバチ(Symmorphus captivus)だと思われます(ハンマー様の6月9日掲載分のハムシドロバチよりも、更に大きく、太い体つきをしていたでしょう?)。“日本のファーブル”こと岩田久二雄博士が、一般向けの著書(『自然観察者の手記』や『昆虫を見つめて五十年 (II) 』で、“Symmorphus captivus(=スミスハムシドロバチ)”としている種は、今日のハラナガハムシドロバチですので、お間違いの無いように…。オオハムシドロバチは、私も、前述の神戸森林植物園付属施設にて、1991〜1997年の間に、2回だけ出会ったことがありますが、兵庫県下のみならず、全国的に見ても、(エゾハムシドロバチ程ではないにしても)かなりの希少種ではないでしょうか? ましてや、既知の分布域や体サイズ、ファーブル昆虫記でもかなり詳しく取り上げられるヨーロッパ産の近縁種の情報等から推して、予想はついていたとは言え、実際の狩りの現場を押さえた獲物の記録というのは、日本国内では、ひょっとしたら“初記録”ではないかと思います。
それにしても、今年は、ちょっと変な年のような気がします。クヌギ・コナラ上のノミゾウムシ類の発生量が極めて少なかった一方で、市内のニュータウンの売れ残り造成地外縁のヤマナラシ(or ドロヤナギ?)蘖にでも、ドロノキハムシの発生が見られましたし…。
投稿: 覇蟆邇(はまに)人 | 2008年6月23日 (月) 08時18分
覇蟆邇(はまに)人様
ほめていただいてありがとうございます。
確かにこれは大きなドロバチでした。このハチも、あの屋根に営巣しているんでしょうか?あそこにはいろんな直径の筒がそろっているので、多様なハチがやってくるのだろうと思っています。
ところで、この写真の撮影場所はやはりあの公園内で、ドロバチに気付いたのは今年が初めてですが、ここ数年は毎年多数のドロノキハムシが発生しています。昨日(6/22)の時点でも、ドロバチが少し飛来していました。大小少なくとも2種が来ているように見えましたが、私の言うことなのであてにはなりません。
ハムシは成虫と若齢幼虫、それと卵塊は多数見られましたが、狩猟の対象になるような大きさの幼虫はまったく見られませんでした。全部狩られてしまったのかも知れません。しかし数週間後には手ごろな大きさに育っているのではないかと思います。それまでに狩猟のシーズンが終わってしますかも知れないのが残念です。
覇蟆邇(はまに)人様の目で見ればもっと興味深いことが見えるかもしれませんので、おおよその場所を書いておきます。気が向いたら覗いてみてください。ここは例の東屋から見て、池の対岸の道から1段上がったところにある細い道沿いです。さらに1段上にもいい場所があります。植物はこれがドロノキかどうか私にはよくわからないのですが、丈の低い若い株で、ドロノキハムシがたくさんついているのですぐにわかると思います。明日(6/24)、その場所のドロノキハムシをアップする予定です。
投稿: ハンマー | 2008年6月23日 (月) 23時50分
ハンマー様。
フィールドの情報、有難うございます。6月18日には、私も、夕方、帰り際に、例の公園の“茅葺き民家”の前のミニ畑法面に植栽されていたヤマナラシ幼木の再出芽の上に、偶然(幹に、体長12cm程もある、でも、平べったいカレハガの毛虫を見つけて、フラフラ近付いてみたら)、ドロノキハムシ成虫1匹と卵塊1つを見つけていたのですが、幼虫の発育した痕跡がほとんど無かったので、「どっから来たんかな〜?」と思っていたんです。横手の棚田(って言うか、今は、段々畑?)エリアの畦道の方は、見ていませんでした。
しかし、先週中は、結構な好天(しかも涼しめ)に恵まれていたにもかかわらず、世知辛い世の雑務(就職活動の一種)に追われて、結局、折角教えて頂いた現場にも、出向く事ができませんでした。確かに、ハチの方の活動期間が終わってしまっている恐れは大きいですね。オオハムシドロバチは、標高の高い地域(但馬地方等)では、7月中も、まだ活動しているようですが(昔、県の昆虫相調査のアルバイトで、雄バチ採集)、ここらではねぇ…。まあ、獲物のハムシ幼虫のコロニーが続いてくれていれば、ハラナガにしても、神戸の再度山でも、7月上旬まで営巣活動が見られた年もありましたから、諦めるのはまだ早いですけど。
あっ!その点からすると、ハンマー様の仰る『少なくとも大小2種のハムシドロバチの飛来…』というのは、大:オオハムシドロバチ,小:ハラナガ,かも知れませんね。ハラナガは、ルリハムシやヤナギルリハムシ,クルミハムシなど、ツンとくる臭気(クルミ以外は、新品のパソコンやオーディオ家電製品が熱を持った時のような匂い…と、私は感じるんですが、ファーブルは『ニトロベンジンの匂い』と表現しています)を放つ反転腺が発達したハムシの幼虫ばかりを好むので、ヤナギハムシやドロノキハムシなら、発生時期さえ合えば、十分対象内でしょう。ハムシドロバチに限った事ではありませんが、複数種の獲物を利用する狩バチが、小さな獲物まで利用しなければならない状況に陥った時、大型種の未成熟幼虫にまで無差別に手を出すよりも前に、小型種の成熟幼虫を利用する…という傾向はありますが(『採らずに暫く待てば大きくなるんだから…』なんてことを“見越した上で”…というのと“同じ結果をもたらす”メカニズムを持っている…ってことでしょう)、いよいよ適切な獲物が居ない…となると、未成熟幼虫まで狩るようになりますから、ハラナガも営巣末期で追い詰められての所行かも知れません。あそこのフィールド、ハンノキ類に居るのはハンノキハムシの幼虫ばっかりで、ルリハムシを(シーズン中でさえ)殆ど見掛けませんしねぇ…。
投稿: 覇蟆邇(はまに)人 | 2008年6月29日 (日) 23時44分
覇蟆邇(はまに)人様
一つ書き忘れていたことがありました。別の個体がオスと思われるやや小柄なハチにストーキングされてました。飛んでいる時はずっと後をついて飛び、メスがハムシ幼虫を探るために着陸するとすかさず交尾しようとしているように見えましたが、動きが速く、撮影はできませんでした。大小2種のドロバチについては、その時にはそう思ったのですが、まあ、話半分に聞いておいてください。
確かにあそこはハンノキハムシが多いですね。ハンノキにつくカメムシを観察していた時期があって、その時にもハンノキハムシの多さにはうんざりしました。
投稿: ハンマー | 2008年6月30日 (月) 22時40分