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2012年5月15日 (火)

コマユバチヤドリアシブトコバチ ?(タイトル変更、写真追加)

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 コナラの枝先についた蛾の幼虫の死体にアシブトコバチが産卵に来ていました。
 蛾の幼虫は多分、オオトビモンシャチホコだと思います。コナラやカシ類に多数の幼虫が群れているのを良く見ます。また、写真のように集団で死んでいる様子も普通に見かけます。
 いくつかの死体を切り開いてみたところ、中にはうじ虫が入っていました。死体1個に入っているうじ虫は1匹です。おそらくハエの幼虫だと思います。幼虫の死体の殻は非常に硬くて、切り開くときに中の幼虫を潰してしまったので、写真はやめておきます。

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 アシブトコバチのアップです。黄色い部分はありますが、キアシブトコバチとは黄色の入るパターンがちがっているようです。北隆館の昆虫大図鑑IIIにはハエヤドリアシブトコバチ(Brachymeria minuta)というのが掲載されていて、この学名で検索して出てくる画像は、上の写真と概ね一致しているように見えます。
 また、大図鑑は、「ニクバエ科、クロバエ科などの幼虫に寄生し、時に2次寄生する」と記載されているので、生態も合うように思います。が、自信はないので、アシブトコバチの1種ということにしておきます。

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 幼虫の頭の部分に産卵している個体もいました。
 (2012年5月13日、兵庫県加東市)

(5/16追記) ezo-aphidさんから、シャチホコガの幼虫に寄生したのはRogas属のコマユバチで、アシブトコバチはコマユバチヤドリアシブトコバチ Brachymeria secundaria の可能性が高いとのコメントを戴き、タイトルを変更しました。詳細はコメント欄をご覧ください。
また、下に2枚の写真を追加します。

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背面からの写真です。複眼の大きさ、小盾板の形に注目してください。

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 いくつか持ち帰ったマミーの内の1つの殻を切り取ってみました。写真のように大きな幼虫が入っていましたが、黒く変色した部分があって、死んでいるかどうかは良く分かりませんでしたが、少なくとも健康な状態でないことは確実でした。また、矢印の部分に小さな謎の幼虫がいました。アシブトコバチは内部寄生のはずなので、別の寄生性昆虫の幼虫だろうと思います。持ち帰ったマミーから、何が羽化してくるか楽しみです。上手くいけばいいのですが・・・。

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コメント

こんばんわ。面白いものを見せていただきました。
果実の鞘に見えたのは、(サイズが判りませんが)シャチホコの中齢幼虫の遺体なんですね。これはRhogas属(カモドキバチ亜科)などのコマユバチ寄生によるマミーで、体内でマユを作成中なのだと思います。
ということと併せ考えると、このコバチはコマユバチヤドリアシブトコバチ Brachymeria secundaria(雌の体長は約3.6mm)の可能性が高いようです。ここでは見えませんが、複眼が大きく正面顔の1/3ずつを占めること、背面からみた小楯板の形がほぼ半円形をしている点が、minuta(雌の体長は4.2-6.7mm)と違っているとのことです。

投稿: ezo-aphid | 2012年5月16日 (水) 01時18分

すみません、カモドキバチ亜科はRogadinaeで、Rogas属のスペルミスです(ネットではなぜかRhogasでも見つかります)。このような幼虫マミーは、Aleoides属の画像検索や、「リンベの閑居記」(2012.05.11、クヌギトビカスミカメの巨大な獲物)、にもあります。この亜科の国内記録は13属あるのですが、上記の2属(Rogas19種、Aleoides3種)以外に、どれがこのようなマミーを作るのかは判りません。

投稿: ezo-aphid | 2012年5月16日 (水) 09時58分

ezo-aphid さん、詳細なコメントをありがとうございます。
正面からの写真はありませんでしたが、背面からの写真を追加しておきます。
大図鑑のB. minutaの図と比べると、確かに複眼はこのハチの方が大きいようです。小盾板の形がほぼ半円形というのはこれでいいのでしょうか。また、触角の柄節の長さは図鑑のB. minutaの図よりも明らかに短いように見えます。
ということで、ご教示いただいたb. B.secundaria である可能性が高そうですので、タイトルは一応?付きで、コマユバチヤドリアシブトコバチに変更させて頂きます。なお、マミーは数個持ち帰ってきましたが、その長さは10~12mmでした。

ついでに、マミーの殻を切り取った写真もアップしておきます。

投稿: ハンマー | 2012年5月16日 (水) 22時07分

おつきあい下さり、ありがとうございます。
国内産既知のBrachymeria属の11種は、複眼間の幅は頭幅最大幅の半分以上を占めるのですが、唯一、secundariaだけが半分に達しません。小楯板の後縁中央部が、minutaなどでは凹むのですが、これは(見る角度がまずいのか)円いとも言い切れず、困りました。また、寄主不明が2種いますが、その他はハエ類や蛾類を寄主としていて、コマユバチ類(Rhogas,Meteorus)を寄生とするのはsecundariaだけのようです。
Rogas成虫の体長は、5-10mmほどですので、この幼虫サイズは納得できます。「謎の小幼虫」は、Rhogas属に寄生するコバチ上科をデータベースで調べてみたところ、数科にわたって10種以上出てきました。かなり込み入った関係になりそうなので、羽化失敗も考慮するともっとたくさんのマミーが必要かもしれません。なお、Rhogasという名前は、以前は広範に普及していたようで、Rogasではたどれない情報が多くありました。

投稿: ezo-aphid | 2012年5月17日 (木) 00時09分

ezo-aphidさん、更に詳細なコメントをありがとうございます。
複雑な寄生関係に驚いてしまいます。
アシブトコバチが付いていたのは初めてみましたが、この赤いマミーの集団自体は、こちらでは珍しいものではありません。みつけたら、また採集してみます。何か羽化してきたら、また、記事にしますので、よろしくお願いします。

投稿: ハンマー | 2012年5月17日 (木) 06時02分

カモドキバチ亜科Rogadinae の蛹化方法について追記します。
Tracks & Sign of Insects (Eiseman & Charney, 2010)の112-113P.を見たら、Aleiodes属(以前のはミススペルでした)の例でこんな記述がありました。「コマユバチの幼虫が(ケムシなど寄主の体内で)充分生育すると、寄主の腹面に穴をあけて、漏れでた体液(の乾燥)で枝などに固着させる。ケムシ幼虫は乾燥・硬化してマミーとなるが、コマユバチ幼虫は内部にマユを作り、羽化脱出用の円い穴を穿っておく。コマユバチ成虫はケムシ幼虫の後体部背面側から出ることが多く、側面・腹面からの不規則な脱出孔は、コバチ上科あるいはヒメバチ上科の二次寄生蜂によるもの。」
なお、このようなマユの作り方は、狭義のカモドキバチ亜科Rogadinaeの多くの属に見られるようなので、属名の特定はできません(成虫を見ても難しいように思います)。

投稿: ezo-aphid | 2012年6月 7日 (木) 18時29分

ezo-aphid さん
更に詳しい解説をありがとうございます。

持ち帰った12個のマミーから10個体のハチが羽化しました。内訳はアシブトコバチが7頭、コマユバチが3頭。コマユバチにとっては厳しい結果です。写真を出した小さな幼虫に対応するものは羽化しませんでした。

羽化を見つけた時点で死んでいた個体は標本にするつもりですので、近く写真をアップします。

投稿: ハンマー | 2012年6月 9日 (土) 08時15分

こんばんは。
私も山梨県北杜市で同じようなマミーを発見し、いくつか持ち帰っていましたが、最近
コマユバチが出てきました。いちおう、連絡しておきます。
http://blog.tamagaro.net/?p=3397

投稿: Hepota | 2012年6月19日 (火) 19時33分

永らくブログ更新がご無沙汰でしたので、どうしておられるのか心配でしたが、ミバエを追いかけてられたのですね。
Hepotaさんの追記で、カモドキバチモドキの生態について、神戸大学の福井さんという方の50年前の記録(鍋蓋虫第8号)が紹介されています。当時の丹波篠山では、寄主も寄生者もごく普通種で、年2回発生なのですが2回目の寄主が不明だったようです。
ただし、Aleiodes drymoniae (Watanabe 1937)でGoogle検索して見ると、その後5種ほどの寄生記録が追加されてるようです。・・・・・属名もRogasからAleiodes属に移されてますね。

投稿: ezo-aphid | 2012年8月 5日 (日) 14時00分

Hepotaさん、レスせずに失礼しました。
ezo-aphid さん、追加情報をありがとうございます。

長い間、このブログを更新していなかったのは、決して何かを追いかけていたとかいうことではなく、
なんとなく気力を失って、web的に引きこもり状態にあったからです。ずっとフィールドには出ていたのですが・・

ぼちぼち、リハビリがてら更新を再開しようかと思っています。

投稿: ハンマー | 2012年8月 6日 (月) 07時20分

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